あけましておめでとうございます。
皆様にとって明るい年になりますように。
2023年も、どうぞよろしくお願いいたします!
さて、松の内も過ぎましたが、週末のお出かけにおすすめの展覧会をご紹介します。
JR駒込駅からほど近い六義園、そのお向かいにある「東洋文庫」を御存知でしょうか?
東洋文庫は、日本最大級の本の博物館。
三菱財閥の岩崎久彌が1924年に設立した東洋学の研究図書館です。
東洋学の分野で日本最古・最大の研究図書館で、
世界5大東洋学研究図書館の一つでもあるそうです。
圧巻なのが、モリソン文庫!

足元から天井まで、何段もの本棚がずらっと並んでいます。
この本は、オーストラリア人ジャーナリストのG.E.モリソンが収集したもので、
その数、およそ2万4千冊!!
このコレクションの全てを、東洋文庫を作った岩崎久彌が、
今の価格にしておよそ70億円で買い取りました。
私は、このモリソン文庫の空間が大好きで、
2016年の「ニッポン放送アナウンサーカレンダー」で、写真を撮っていただいたこともあるんです。
そんな東洋文庫で、今行われている企画展示が
「祝・鉄道開業150周年 本から飛び出せ! のりものたち」です。

本の中に登場する、古今東西ののりものたち。
鉄道や船ばかりでなく、人類の友である馬、
筋斗雲など物語に出てくる想像上ののりものまで出てきます。

展示ひとつひとつに丁寧な解説がついているのですが、よく読んでいくと......、

ジョン万次郎の次に汽車に乗った日本人だとされる彦蔵が書いた『漂流記』には、
「冷静に感想書いてるけど、本当ははしゃいだんじゃない(´▽`)?」とツッコミと顔文字まで!
「メトロポリタン地下鉄の建設」を伝える『イラストレーテド・ロンドンニュース』には、
「地下を走る「不満そうな人類の蒸し風呂」」、
『西遊記』に出てくるのりもの、筋斗雲については
「宙返り1回につき地球約11万周できる雲」など、
キャプションをきっかけに興味や想像が広がっていきます。
私のお気に入りは、「その走り方は...うさちゃん?」というキャプションがついた
『準回両部平定得勝図』(乾隆帝勅版、18世紀後半)。
清の乾隆帝が作らせた西方遠征を描いた銅版画なのですが、
当時は、全速力の馬の走り方は速すぎて分かっていなかったため、
想像で前足と後ろ足を揃える走り方で描かれているとのこと。

確かに、本当にうさちゃんの走り方......!
今年にぴったりですね。
ちなみに、今回は、私が好きな『三国志演義』からの展示はありませんでしたが、
同時に行われている展示
「FIFAワールドカップ(カタール大会)開催! 歴史の視点で楽しむサッカー」には、
同じく中国古典小説『水滸伝』から蹴鞠の箇所が展示されていました。
キャプションは「君、蹴鞠うまいから採用ね!」です。
「のりもの」「サッカー」などと身近なテーマをユーモア溢れる解説を頼りに辿っていくと、
本に残された昔の事柄にも親近感が湧いてきます。
温故知新という言葉がぴったり、思わぬ発見がたくさんある東洋文庫に、ぜひお出かけください。
「祝・鉄道開業150周年 本から飛び出せ! のりものたち」は、
東洋文庫で、今週末1月15日までです。
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/norimono-detail.pdf