2014年10月

  • 2014年10月27日

    海外から人を呼ぶには?

     海外から日本を訪問する観光客が増えています。去年は初めて年間1000万人を突破し、その経済効果が話題になりましたが、今年は去年を上回りそうです。

    『訪日外国人旅行者 9月としては過去最高』(10月22日 NHK)http://goo.gl/ieot9o
    <先月、日本を訪れた外国人旅行者は、円安傾向や航空路線の拡充などを背景に、およそ110万人となり、9月としては最も多くなりました。
    (中略)
    日本政府観光局は、「先月末にインドネシアやフィリピン、それにベトナムに対して観光ビザの要件が緩和されたこともあり、ことし1年間の外国人旅行者数は1200万人に到達すると見込んでいる」と話しています。>

     メディアによっては1300万人という見込みもあり、消費増税以後冷え込み気味の国内消費を訪日観光客に支えてもらいたいという政府の意図も感じられます。これで経済が回るなら素晴らしいこと。ホテルやデパートなどは観光客のニーズをつかもうと躍起になっています。

     ただ、日本は外国人にとって本当に旅行しやすいのだろうかと思うとちょっと疑問が残るのです。特に、私の好きな鉄道の分野は、独自の発展を続けている分だけローカルルールが多くて難しいのではないかと思います。
     まず、最近は徐々に増えてきましたが、英語での放送は少ない。特に、何かアクシデントがあった時の英語のアナウンスはほぼ皆無。どれだけ列車が遅れているのか、あるいは運休となるのかなどは直接駅員さんに聞きにいかない限り情報が取れないのではないか?と、先日台風が首都圏に接近した時に思ったのです。また、駅のサインボードなども英語が併記されていないものも少なくありません。

     そして、極めつけのローカルルールが、『グリーン車』。普通車に対して一段優等な車両がグリーン車なんですが、当然こんな名前の車両は海外にはありません。最も一般的な優等車両の表記は、『一等車(first class)』。実は、日本でもかつては一等車、二等車という表記だったんですが、1969年の運賃改定の時に改められました。一等、二等という表現が差別的であるというのも一つの理由だったのかもしれませんが、海外から来た人はどっちが優等なのかもわかりません。『グリーン』だからエコな車両なのかな?と思うかもしれません。ちなみに、JR各社の英語ページでの表現を見てみると、

    JR東日本『Ticketing』http://www.jreast.co.jp/e/ticket/types.html
    <Green Car (first class) >

    JR西日本『How to use JR-West』http://goo.gl/OnP2pz
    <Green cars are a rank above reserved seating in ordinary cars.>
    (グリーン車は普通車指定席よりも上のランクの席です)

    JR九州『JR Kyushu Rail Pass』http://goo.gl/XifRgi
    <If the holder travels on a Green Car, the Green Car charge will be assessed in addition to the ordinary express charge.>
    (グリーン車に乗ると、グリーン料金を追加で請求されます)

    JR北海道『Japan Rail Pass FAQ』http://goo.gl/TbCfE2
    <First-class Car(Green Car)>

     各社、グリーン車=一等車(ファーストクラス)という認識で、それに沿った表記となっています。が、さらに外国人旅行客を混乱させるのが、さらに上のクラスの存在。東北新幹線や北陸新幹線などに設定されている『グランクラス』。JR九州のDXグリーン車などが登場すると、一体どう説明してよいのやら。少なくとも、サインボードやマークを見るだけでは全く理解できません。これでは、この車両は乗っていいのか悪いのか判断がつきません。勘違いで乗ってしまったら追加料金を請求されるかもしれないとなると、これは日本語を解する人しか使えないというハードルの高い制度になってしまいます。一等、二等と表記を変えるか、グリーン車のマークの下を「Green Car」から「First Class」に変えるべきです。

     鉄道つながりでもう一つ気になることは、駅の設備があまりに貧弱であるということ。海外は日本ほど時刻通りに列車が到着しないので、ギリギリに駅に着く客はほとんどいません。ある程度余裕をもって集まってくるお客さんのために、特に中心都市のターミナル駅では駅構内の設備が充実しています。
     自分の国での習慣を旅先でも行うということを考えると、日本の鉄道を利用するときにも早めに駅に来るということは想定しておかなくてはいけません。たしかに、ホームのベンチでぼーっとしている外国人をたまに見かけます。ずーっと、列車を待っているわけなんですね。
     最近『駅ナカ』なんて言って駅の構内の飲食店や雑貨屋さんなどが充実してきていますが、利用客に対して供給が少なすぎる。お盆や年末年始などは駅の階段を椅子代わりに時間を潰している人を良く見ますもんね。
     ちなみにヨーロッパでは、一等車を利用する客に対して専用のラウンジを用意してもてなしているケースが多々あります。これ、日本ではほとんど見かけませんね。唯一、JR九州が一部の駅で運営しているようですが...。外国人観光客、特に富裕層をターゲットにするのであればこうしたサービスも考慮しなくてはなりません。
  • 2014年10月22日

    永田町を吹き抜ける"風"

     今日のザ・ボイス、コメンテーターはジャーナリストで東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋さんでした。オープニングでも大展開しましたが、今日のニュースの中で世間の扱いは小さいけれど実は重要だというのが菅官房長官の午前の会見でした。

    『内閣官房長官記者会見 平成26年10月22日(水)午前』(首相官邸HP)http://goo.gl/8iqVO0

     この中で、会見の最後に消費増税に関する記者の質問に答えた部分なんですが、その部分はほとんど報じられていません。(前記動画の15分過ぎ)唯一、それを取り上げたのはNHKでした。

    『官房長官「GDP速報値踏まえ増税可否判断」』(NHK 10月22日)http://goo.gl/pXpS6M
    <消費税率を来年10月に引き上げるかどうかについて、政府としては、来月発表されることし7月から9月のGDP=国内総生産の速報値などを踏まえて判断する考えに変わりはないという認識を示しました。>

     この記事だけを見ると「従来の方針通り」という報道であり、なんらニュース性はありません。「変化」こそがニュースとなるからです。
     長谷川さんが言及したのが、今回の官房長官会見での、その「変化」。具体的には、「速報値」という表現です。今まで菅長官は消費増税の可否判断について、7~9月期のGDP「改定値」で判断すると繰り返していたのです。

    『GDP改定値で判断は「常識」=消費税率10%上げ-菅官房長官』(9月22日 時事通信)http://goo.gl/GjM02W
    <来年10月に予定する消費税率10%への引き上げについて、今年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値を踏まえ最終判断することは「常識だ」と述べた。>

     今までGDP改定値での判断と強調してきました。GDP改定値の発表は12月8日。11月30日に会期末を迎える今臨時国会が閉幕した後となります。ちなみに、GDP速報値は11月17日に発表となり、こちらは国会会期中です。
     今までGDP改定値を判断材料とするのは「増税の是非が国会論争になるのを避けるため」(政界関係者)と言われてきました。
     それが、今回国会会期中に発表される「速報値」で判断すると菅長官は明言したわけです。これは大きな方針転換。ざっと、判断を一か月前倒しするということを暗に表明したわけです。
     これについて長谷川さんは、
    「増税延期のサインだ」
    と読みました。安倍政権は2閣僚辞任、最近の指標の景気低迷などで、内閣支持率に悪い影響が出るのは必至です。その上増税という不人気政策を決定すれば、支持率がさらに低下し、悪くすると危険水域に入って行ってもおかしくありません。
     そうした政策であればこそ、GDP速報値が出たあと世論の様子を見ながら時間を稼ぎ、改定値が出る12月まで判断を先送りするのが自然な考え方でしょう。それを判断前倒しとなると、世論にとってプラスになるサプライズがなければいけません。すなわち、今の時点でも世論調査で国民の7割が反対している消費増税を延期するという決断です。

     しかし、増税延期となると自民党内外の増税賛成派を抑える必要があります。国会会期中ですから、国会審議も消費増税一色になり空転するでしょう。政権が今国会の目玉と位置付けた労働者派遣法や地方創生関連法案、カジノ法案などの成立も見通せなくなります。
     それらを打開するためにどうするか。
     当然、総理が持つ伝家の宝刀、解散権を行使することも視野に入って来るのです。慣例として、衆議院の解散は国会の会期中という不文律があります。11月17日に判断を前倒しすれば、直後の解散だって可能ということになります。
     衆議院議員にとって何より怖いのは解散総選挙。
     これが現実味を帯びてくれば、おいそれと総理の判断にたてつくことはできません。その上、増税延期は国民的には人気の政策。なおさら反対しづらくなります。

     さて、さらにシミュレーションを進めると、解散はいつになるのか...?ここから、カレンダーが手放せなくなります。
     解散は衆議院本会議で行われます。慣例では、衆議院本会議は火曜と金曜。11月17日の直近の衆議院本会議は18(火)、21(金)。翌日解散というのはいささか乱暴ですし、この日は仏滅。政治家の皆さんは、こういった解散などのビッグイベントについてはビックリするほどゲンを担ぎますので、暦を非常に気にするのです。ちなみに、11月21日(金)は先勝。先手を打って勝負をかける安倍官邸にとってはうってつけの暦でしょう。

     21(金)解散とすると、投票日は...?
     公職選挙法では、解散による衆議院総選挙となると、解散日から40日以内に投票日を設定するという規定があります。11月21日から40日後というと、12月30日(火)。そこまでに日曜日は6日あります。
     衆議院選挙は公示から投票日まで12日間取らなくてはいけませんから、最短で11月25日公示、12月7日投票日。ちなみにこの日は先勝。ゲンはいいですが、日程的には少し窮屈です。以下、日曜日は12月14日(友引)、21日(先負)、28日(大安)という暦。21日の先負はゲンが悪いので避けるでしょう。28日は暮れも押し迫っているので、いかに大安であってもここまで引っ張るのは厳しい。
     となると、14日か...。いずれにせよ、文字通り忙しい師走となるかもしれません。
     いろいろ思索を巡らせる「速報値」発言。秋風とともに解散風も吹きつつあります。
  • 2014年10月14日

    地方創生の第一歩は?

     臨時国会が開幕しました。政権が今国会で最重要課題に掲げるのが『地方創生』。今日、関連法案が審議入りしました。

    『地方創生関連法案 衆院本会議で審議入り』(10月14日 NHK)http://goo.gl/VUOjJY
    <内閣の重要課題の1つである、地方創生の基本理念を盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生法案」と、地域の活性化に意欲的な地方自治体が財政支援などを受けやすくする、地域再生法の改正案は、14日、衆議院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。>

     アベノミクスを日本の隅々まで浸透させるということで、成長戦略の一つの目玉。担当大臣も指名して、地方の景気を良くしようと官邸は本気で取り組む構えです。では、足元の景気はどうかと言えば、厳しい統計結果が出てきています。

    『9月街角景気、先行き判断は4カ月連続悪化 円安を懸念』(10月8日 日本経済新聞)http://goo.gl/C9yCS4
    <内閣府が8日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月から横ばいの47.4だった。消費税率引き上げ後の駆け込み需要の反動減は引き続き和らぎつつあるものの、円安進行による原材料高や燃料高への懸念から製造業で弱含んだ。一方、2~3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比1.7ポイント低下の48.7と、4カ月連続で悪化した。>

    『消費者心理2カ月連続悪化=基調判断、再び下げ-9月』(10月10日 時事通信)http://goo.gl/vNx69E
    <消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)は前月比1.3ポイント低下の39.9となり、2カ月連続で悪化した。下げ幅は消費税増税を目前に控えて大幅に悪化した今年2月以来(前月比1.8ポイント低下)の大きさとなった。>

     ちょっと前までは「消費増税の影響軽微!」「反動減は和らいできて、7~9月期には持ち直す」という紙面が多かったんですが、さすがに数字はごまかせませんからね。最近は都市部の百貨店の業績をことさら取り上げたり、天候不順や円安の影響で一時的に悪い数字が出ただけだと強調している記事が目につきます。ま、百歩譲って都市部は景気がいいのかもしれませんが(私はちっともいいとは思えません...)、地方からは悲鳴が聞こえてきます。ちょっと探すだけでこれだけでてきました。

    『今夏「売上減」4割 県内中小企業、消費増税影響調査』(10月7日 佐賀新聞)http://goo.gl/2hPKj1
    <佐賀県商工会連合会が9月に実施した消費税増税の影響調査で、消費者の買い控えなどで7~8月の売上高が増税前より減ったと回答した企業は4割だった。(中略)多くの中小企業が増税の影響から抜け出せないでいる状況がうかがえる。>

    『暮らし向き「悪化」 消費者8月調査、増税影響』(10月10日 岐阜新聞)http://goo.gl/w9io0e
    <4月の消費税増税後、交通費や食料費、日用雑貨費など生活必需品の負担が大幅に増え、多くの消費者が暮らし向きや生活満足度について悪化したと考えていることが、十六総合研究所の消費動向調査で分かった。>

    『県内は2期連続悪化、非製造業ダウン/日銀短観』(10月2日 四国新聞)http://goo.gl/w9io0e
    <日銀高松支店は1日、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。香川県内企業の景況感を示す業況判断指数は、全産業で前回調査(6月)から2ポイント低下してマイナス4。悪化は2期連続で、夏場の天候不順で非製造業が落ち込んだ。(中略)大川昌男支店長は「企業マインドは天候不順でもたつき、消費税増税の影響も残っている」と分析。>

     各地で厳しさが目立っています。
     記事を読むと、どこも「円安や天候不順もあった」と一応言い訳しているんですが、それだけでは説明がつかないほど厳しい数字なだけに、中央の新聞のように見出しで「一時的」というようなニュアンスは出せませんでした。読んでいる人たちは景気の悪さを実感しているわけですから、そんな誤魔化しのような見出しはとてもじゃないが出せないということかもしれません。

     こうした地方の景況感の厳しさを見てみると、地方創生の第一歩は「幅広い事業に活用できる新たな交付金制度の創設」や「特区を使った規制緩和」といった気の長い話でいいのか?という思いを強くしました。これだけ厳しい景気、特に地方でこれだけ足元の景気が厳しい中で、消費再増税をしていいのでしょうか?今すでに疲弊している地域経済の息の根が止まりかねないという危機感を覚えないでしょうか?

     地方創生は、まず、消費再増税の延期をしてからと私は思うのです。

     地方創生担当の石破大臣は自民党幹事長時代にこんな発言をしています。
    『消費税10%「12月決断」 自民・石破幹事長』(7月25日 千葉日報)http://goo.gl/04VprG
    <「現在の膨大な国の借金は間違いなく消費税を上げなかった影響。12月には決断しなければいけない」と述べ、消費税を10%に引き上げる必要性を強調した。>

     当時とは立場が異なり、現在は地方の経済再生を担う担当大臣。立場が違えば、見えてくる世界も違うはず。地方経済の疲弊がよりはっきりと見えるようになったのではないでしょうか。閣内不一致の謗りを受けようとも、石破大臣にはぜひ、身体を張って消費再増税延期の旗を振ってほしいと思います。
  • 2014年10月06日

    メディアが伝えない新幹線の偉業とは

     先週水曜、10月1日に新幹線が開業から50年を迎えました。
     1964年(昭和39年)に行われた東京オリンピックに合わせて、開会式の10日前に開業した東海道新幹線。そこから50年の節目を迎え、各メディアが新幹線50年の大特集を軒並み組んでいます。ためしにGoogleで『新幹線 50年』と検索してみると、ニュースだけで8万件を超える検察結果が上がってきました。いかに新幹線が日本国民に根付いているかがわかります。
     そうした記事を眺めていますとよく出てくるのは、50年で56億人あまりを運んだ。その間脱線や衝突などの列車事故で死亡した乗客はゼロだった。というような見出し。あるいは、支えてきた人々のエピソードを紹介するような記事が大半を占めていました。

     こうした新幹線物語の数々は、私のような鉄道ファンからすればどれだけ読んでも飽きがこない、時間を忘れて読みふけりたいものなんですが、一つあまり語られていない新幹線の意義があります。それは、我が国のみならず、世界の鉄道史に燦然と輝く大偉業。
     ちょっと抽象的なんですが、『鉄道そのものの存在価値を見直させた』ということでした。

     新幹線が開業したのが1964年。
     計画が動き出したのがその6年前の1958年(昭和33年)。
     その当時の世界の交通事情がどうであったかというと、こと長距離輸送に関しては「鉄道の時代は終わった」というのが大勢でした。すでに第2次世界大戦前から航空機や自動車との競争に直面していたアメリカでは、州間高速道路網の整備によって長距離バス(グレイハウンド)が台頭。さらに旅客機も新機種の投入が相次ぎます。
     新幹線計画承認の前年、1957年の末にボーイング707が就航し、ジェット旅客機の時代の幕が開きました。その翌年の1958年にはボーイングのライバル、ダグラス社からDC-8、さらにその翌年の1959年にコンベア880が初飛行し、初期ジェット旅客機が揃うこととなります。
     1957年の調査では航空機の旅客量が鉄道を初めて上回ったということで、鉄道の凋落がすでに際立ってきたころでした。
     日本国内でも1957年に名神高速道路「小牧~西宮」間で施工命令が下っていて、アメリカのように航空機と自動車による交通革命が起こるのではないかと言われていました。
     要するに、世界的に長距離輸送は鉄道・船舶から旅客機へという流れが出てきた頃なんですね。そんな世の中で、新規に高速鉄道を敷こうというのは嘲笑の的。特に、海外事情を知るインテリほど反対しました。
     たとえば、鉄道ファンで有名な作家の阿川弘之は「四バカ論」を唱えて反対を表明。「世に四バカあり。万里の長城、ピラミッド、戦艦大和に新幹線。いまさら時代遅れの大建造物を作っても、無用の長物。莫大な建設資金返済に苦しむだけだ」と言ったのです。阿川はその後、新幹線の成功をみて「不明を恥じる」という記事を出していますが、これこそがまさに当時の世界の空気。その空気を一変させたことこそが、新幹線の世界的な意義なのです。

     広大な国土を持つアメリカではすでに線路を剥がした後だったので旅客機と自動車の都市計画が進みましたが、ヨーロッパではその後も鉄道が生き残りました。まさに新幹線のビジネスモデルである都市間移動の手段として、フランスTGV、ドイツICE、スペインAVE、英仏をつなぐユーロスターと、国によって形はさまざまですが高速鉄道というジャンルが定着しているのです。それは、都市と都市の間がアメリカほど離れていないという事情が日本と似通っていたという事情もあるでしょう。しかし、当時の日本以上にヨーロッパでは自動車が普及していたわけで、新幹線の成功がなかったら自動車による短・中距離都市間移動が定着していたかもしれません。

     日米欧で鉄道の灯が消えてしまえば鉄道は本当に時代遅れとなり、鉄道は乗るものではなく写真で見るものになっていた可能性だって否定はできません。シンカンセンの成功は、その流れを強力に押しとどめました。

     鉄道の祖国、イギリスはヨークにある国立鉄道博物館には、世界中から鉄道史に名を残した名車や関連資料が展示されています。その中に、初代新幹線車両、0系があり、訪問したら見るべき10個の展示ジャンルの一つに挙げられているのです。

    『Top 10 things to do』(National Railway Museum)http://goo.gl/GGVYHk

     1950年代から60年代の世界の鉄道を救った救世主とも呼べる日本の新幹線。そのことはもっともっと称賛されて然るべきではないでしょうか?我々の先人は、間違いなく世界を変えたのです。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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「飯田浩司そこまで言うか!」

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