2014年5月

  • 2014年05月28日

    寝台列車消滅の裏で

     今日、日本のブルートレインの全廃が決定しました。色はブルーではなくグリーンなんですが、JR西日本が運行していた『トワイライトエクスプレス』の廃止が発表されたのです。

    『寝台「トワイライト」来春お別れ 老朽化、四半世紀で幕』(共同通信 5月28日)http://goo.gl/1rgfES
    <大阪―札幌を結び、日本一長い走行距離で知られる豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」が車両の老朽化を理由に、来春限りで姿を消す。JR西日本が28日、発表した。>

     これに先立って、JR東日本はすでに自社の寝台特急の全廃を発表していました。
    『「ブルートレイン」27年度末で全廃 「北斗星」新幹線開業で方針』(産経新聞 2013年11月7日)http://goo.gl/WgfEK9
    <現在運行する「あけぼの」(上野-青森)は来春のダイヤ改正で姿を消し、「北斗星」(上野-札幌)は北海道新幹線の27年度末の開業に合わせて同年度中に廃止される見通し。>

     今回JR西日本の会見では車両の老朽化が理由で、北海道新幹線の開業については触れられていないようですが、本当はそれがきっかけというのが鉄道ファンの共通認識です。特にボトルネックになったのが、青函トンネル。新幹線のレール幅は1435mm。一方、在来線のレール幅は1067mm。トンネル内は、新幹線レールの間にもう一本のレールを通す「三線軌条方式」で、両方の車両が通れるようにする計画です。

    『北海道新幹線について』(JR北海道)http://goo.gl/sPVfEm
    <青函トンネルを含む約82kmの共用走行区間については、軌間が異なる新幹線列車と貨物列車が共用走行を行えるよう、3本のレールを敷設する3線軌条方式を採用しており、(後略)>

     両方の車両が通れるわけですから、JR東日本もJR西日本も運行の継続という選択肢もあったはずです。旅を楽しむ豪華寝台列車は、JR九州の『ななつ星』のように人気を博する可能性が高いからです。実際、北斗星もトワイライトも稼働率は上々だったはず。では、なぜ...?その答えは、青函トンネルの通過時間にありました。

     時刻表を見てみましょう。まず『北斗星』。http://goo.gl/WZfL
    下り(上野~札幌)は、深夜、日付が変わった直後に青函トンネルを通過。一方上り(札幌~上野)は、夜10時過ぎに通過します。
     続いて、『トワイライトエクスプレス』http://goo.gl/zXDa9
    大阪発札幌行きは早朝4時過ぎの通過。一方、札幌発大阪行きは夜8時ごろに通過します。これの何が問題なのか?

     まず、新幹線は沿線住民への騒音防止のために朝6時から夜24時までしか運行できません。

    『新幹線鉄道騒音に係る環境基準について』(環境省)http://goo.gl/V3F4Go
    <2 本環境基準は、午前6時から午後12時までの間の新幹線鉄道騒音に適用されるものであるが、運行の遅延等により当該時間以外の時間に発生する新幹線鉄道騒音に対しても準用するものとすること。>

     ですから、トワイライトの札幌行きは新幹線ダイヤには影響しませんが、それ以外の3本は多かれ少なかれ新幹線の運行時間中に青函トンネルを通過することになるんですね。そうなると、運行速度がまるで違う寝台特急が新幹線の行く手を阻むことになるのです。共用走行区間は82キロ。機関車が客車を引っ張る寝台特急では、走破するのに軽く1時間を超えてしまいます。一方、新幹線は1時間あれば100キロ以上走れますので、すぐに追いついてしまう計算。これがネックとなって、やはり北海道新幹線開業と同時に廃止という結論に達してしまったわけです。

     しかし、何とも惜しい。何が惜しいかというと、ノウハウがここで途絶してしまうからです。これら豪華寝台特急は、寝台車、食堂車、ロビーカーなど国内ではここにしかないものが沢山あり、それに関わるサービスのノウハウも他で受け継ぐことが難しい。機関車が客車を引っ張る列車というのも非常に数が少なく、乗り心地の良い運転方法など有形無形のノウハウもこれまでとなってしまいます。今後、再びこうした豪華寝台列車を始めようとしても、一からノウハウを構築する必要に迫られるのではないでしょうか?世界を見渡せば、こうした豪華寝台列車が観光の目玉になり、沿線観光地も活性化している事例がいくつもあります。いわゆるトレインクルージングというもので、JR九州が『ななつ星』で実践しているビジネスモデル。JR東日本や西日本は、目先の車両の更新・新造の費用を惜しむことで、大事なノウハウが消滅してしまわなければいいんですが。
  • 2014年05月21日

    底辺への競争

     このところ、格安航空会社(LCC・ローコストキャリア)が揺れています。ピーチアビエーションは先月末の異常降下に続き、人手不足から2000便以上の欠航が発表されました。

    『ピーチ欠航、最大2128便...機長訓練生が退職』(読売新聞 5月21日)http://bit.ly/1jU9LG7
    <今年5月~10月に運航を予定していた国際線と国内線で、最大2128便が欠航になると発表した。>

     また、バニラエアも欠航が発表しています。
    『LCCのバニラエア、機長などの運航乗務員を確保できず154便が欠航に』(マイナビニュース 5月16日)http://bit.ly/1qUshb4
    <6月1日から6月30日まで、計画していた154便を欠航することを発表した。>

     ピーチは日本のLCCのトップを走っていた会社でした。就航開始からおよそ1年半後の去年9月に累計登場者数300万人を達成。平均搭乗率は85%に上り、去年4月から9月の就航率は99.8%と、日本一。遅れたり欠航しがちというイメージのLCCにあって、信頼のおける会社という評判で、新聞・雑誌などで特集記事がいくつも組まれていました。

    『"和製LCC"ピーチが成功したこれだけの理由』(東洋経済ONLINE 1月8日)http://goo.gl/pCKx2Z

     各社、パイロットの不足が原因で欠航が決まっています。なぜ、パイロット不足が欠航と直結するのかといえば、まずパイロットは機種ごとにライセンスが分かれているということがあります。ピーチやバニラが使うのはエアバスのA320。大手日系航空会社の主力、ボーイング767や777のライセンスを持っていても、操縦することはできません。操縦するためには、機種変更のための研修と試験をパスすることが必要です。

     さらに、通常操縦は2人で行います。基本は機長と副操縦士の2人ですが、機長の資格のある人2人でも飛ばすことはできます。しかし、副操縦士2人で飛ばすことはできません。したがって、機長の不足が欠航に直結するわけです。過去には、機長が遅刻したり、前日呑み過ぎてアルコール検査をパスできずに遅延、欠航になったケースもありました。

     さて、人手不足そのものはここ最近様々な業界で話題になっています。特にサービス業ではそれが顕著で、大手居酒屋チェーンや牛丼チェーンで、人手不足が原因でお店を閉めなければならない事例が出てきています。それゆえ、賃金を上げたり労働環境を改善したりすることで人を集めようと苦心していて、労働者から見れば環境が良くなっていっています。

     しかしながら、LCCの場合はちょっと事情が違っていて、ローコストが売りの業界だけに、おいそれと賃金を上げられない。賃金を上げてもそれを運賃に転嫁できないわけですから、それだけコストがかかって経営者のクビを締める。しかし、日本では人が集まらない。ではどうするか?もはや、LCCは日本の会社じゃなくなる可能性すらあります。実際に世界にはそういった例もあって、ノルウェーのLCC、ノルウェー・エアシャトルは長距離線専門の子会社を雇用規制の緩いアイルランドに置いています。
    その上で乗務員はシンガポールの航空人材派遣会社からの紹介で、タイベースのアジア人を採用しています。会社側は否定していますが、国際航空労組は人件費削減が目的なのは明らかだと批判しています。

    『Pilots battle against 'Walmart-ing' of airline industry』(FORTUNE 5月8日)http://goo.gl/t877tw

     アメリカの安売りチェーン、ウォルマートをもじって、「ウォルマーティング」に反対するという見出しにある通り、労働力を安売りするなと主張しています。このままでは、人件費の削減が行き過ぎ、生活するのも困難になってしまうと警告しているのです。というのも、パイロットの資格というのは世界共通。A320のライセンスを持っていれば、日本人だろうが中国人だろうがタイ人だろうがピーチやバニラの航空機を飛ばせるわけですね。これはいわば、究極のグローバル労働市場なわけで、賃金の安いところへ「底辺への競争」がパイロットの業界ではすでに始まっているわけですね。華やかに見える航空業界は国境を飛び越えるその特性ゆえ、一足早くグローバル経済の負の側面が迫ってきているわけです。今はまだ人件費の削減の議論にとどまっていますが、コスト削減の矛先がいつ安全面に向けられるかもわかりません。

     翻って、最近の総理官邸のいわゆる成長戦略の議論を考えてみると、「グローバルスタンダード」に教育も労働環境も関税も法規制も合わせて行こうという方向性が見て取れます。「グローバル!グローバル!」とバラ色の未来のように言われますが、世界はそれほど甘いものではありません。日本語、日本の労働法というのが外国人労働者にとっては参入障壁であり改革対象とされていますが、むしろそれらに日本人労働者はグローバル競争、底辺への競争から守られていると考えることもできるのではないでしょうか?国際航空労組の危機感は、決して対岸の火事ではないと私は思います。
  • 2014年05月12日

    本当に「世論」を「調査」しているのか?

     集団的自衛権の行使を容認するかどうか、総理の諮問機関の安保法制懇からの報告書が今週提出され、議論の場は自民・公明の与党協議に移りますが、それを前に各新聞の世論調査が様々出されています。これが、各紙の色が出ていて非常に面白い。というか、同じトピックにも関わらずあまりに結果が違うので、世論調査の誘導方法のいいサンプルになっていて、そこが面白いのです。

     まず、今朝の読売新聞の朝刊一面にこんな見出しがデカデカと出ました。
    『集団的自衛権、行使容認71%...読売世論調査』(5月12日)http://goo.gl/uvqWMl
    <政府が目指す集団的自衛権の行使に関して、「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」とした「限定容認論」を支持する人は63%に上ることが、読売新聞社の全国世論調査で分かった。>

     一方、4月の半ばの朝日新聞は、
    『今国会で憲法解釈変更「不要」68% 朝日新聞世論調査』(4月22日)http://goo.gl/v4k98C
    <朝日新聞社が19、20日に実施した全国世論調査(電話)で、安倍晋三首相が目指す憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認について尋ねたところ、「反対」は56%で、「賛成」の27%を上回った。今国会中に憲法解釈を「変える必要がある」は17%にとどまり、「その必要はない」の68%が圧倒した。>

     集団的自衛権の行使容認に積極的な読売新聞と、行使容認に反対の朝日新聞で、同じテーマでほぼ同じ時期の世論調査なのに正反対の結果が出ています。なぜそんなことになっているのか?昔から指摘されていることですが、質問の違いが結果の違いに現れています。

     まず、読売新聞。こちらはホームページに質問項目が載っていませんので本紙から引きますね。
    <日本と密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、日本への攻撃とみなして反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府はこれまで、憲法上、この権利を使うことはできないとしていました。この集団的自衛権について、あなたの考えに最も近いものを、1つ選んで下さい。
    ・全面的に使えるようにすべきだ 8
    ・必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ 63
    ・使えるようにする必要はない 25
    ・その他 0
    ・答えない 4>

     一方、朝日新聞はホームページに質問事項が載っていました。
    『世論調査―質問と回答(4月19、20日実施)』(4月22日)http://goo.gl/gyWqQX
    <◆集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに、賛成ですか。反対ですか。

    賛成 27 反対 56

    ◆安倍首相は、いま開かれている国会の期間中に、集団的自衛権を使えるように憲法の解釈を変える方針です。いま開かれている国会の期間中に憲法の解釈を変える必要があると思いますか。その必要はないと思いますか。

    国会の期間中に憲法の解釈を変える必要がある 17 その必要はない 68>

     違いが歴然としていませんか?
     読売は、質問文こそシンプルですが、選択肢がちょっと誘導的。
    全面賛成、全面反対の真ん中に「必要最小限の範囲」という中間的な選択肢が入っていて、かつ「あなたの考えに最も近いもの」という質問の仕方をしているので、最もカバーの範囲が広い真ん中に答えが集中するのは目に見えているでしょう。結果、集団的自衛権容認押しの読売にとって都合のいい結果が出ました。
     一方、朝日の方は、集団的自衛権の説明を挟みつつ、さりげなくリスクを強調する一文、「集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。」というものが質問の前に挟み込まれています。さらに、アメリカとの関係を強調して「地球の裏側まで派兵する」という危険性を匂わせつつ、イエス・ノークエスチョンを突きつけることで、どちらでもない人にも反対を選ばせようという意図を感じます。結果、集団的自衛権行使容認に反対の朝日にとって都合のいい結果が出ました。

     朝日の見る我が国の「世論」も、読売が見る我が国の「世論」も、どちらも「世論調査」と名のついた結果なのですから、信用しろという方が厳しい話です。さらに言えば、これが「世の中の議論を深めるために調査している」という建前があるから悪質なのです。一見公平を装いつつ、自社の社論に近いところに誘導しようとする。これでは、「見たいものしか見ない」という近視眼的発想と言われても仕方がないのではないでしょうか?集団的自衛権の議論が深まらない一端が、ここにも見える気がします。
  • 2014年05月07日

    【集団的自衛権】いい加減、神学論争をやめよ

     集団的自衛権については、相変わらずの神学論争が続いています。どういった限定をつけるのか?いつ閣議決定するのか?どこまで譲歩すれば公明党が呑むのか?ニュースの焦点はそこに当たっています。

    『菅氏「今国会こだわらず」 集団的自衛権の閣議決定』(5月7日 共同通信) http://p.tl/2xZY
    <菅義偉官房長官は7日の記者会見で、集団的自衛権の(中略)閣議決定を今国会中に実施するかどうかについて「特別にこだわらない。時期ありきではなく、与党の理解が必要だ」と述べ、時間をかけて調整する考えを示した。
     自民党の石破茂、公明党の井上義久両幹事長は7日午前、東京都内で会談し、行使容認問題をめぐる与党協議を丁寧に進める方針を確認した。>

     私は、先週のこのブログでも書いた通り、論点が違うのではないか?と思っています。なぜ、「自衛」権の話なのに、「どうやって国を守るか?」というところが議論の土台となっていないのでしょうか?賛成派は「アメリカとの関係性」に終始していますし、反対派は国を守るという話をはるかに通り越して「地球の裏側で戦争をしに行く」話を出発点にしています。どちらにしても、本来「国を守る」手段の一つであるはずの集団的自衛権について、これを認めるor潰すことが目的になってしまっていて、「国を守る」という本質について触れられない不毛な議論となっていると思うのです。

     私なりに、本来あるべき議論がどういったものか考えてみました。
     まず、日本の周りをぐるりと取り囲む現状分析。大雑把に言えば、中国とアメリカの勢力均衡点が東へ東へと移っている現状。陸上国家で海へはさほど出てこなかった中国が、近年海軍力を増強してきている。一方のアメリカは財政問題や国内世論に押されて、アジアシフトといいながらも腰が引けてきている。その結果、冷戦から長い間、北緯38度線にあった勢力均衡点が東へ移りつつあるのが現状だと思うのです。たとえば、在沖アメリカ海兵隊のグアム移転について、アメリカ議会で予算が満額認められたのもその証左。そして、米中の勢力均衡点が東へ移れば移るほど、日本列島はいわば仮想の前線へと近づいていきます。そういった現状で、押されているアメリカとの2国間同盟だけで果たしてこの国を守れるのか?我が国が取れる選択肢は多くはないと思います。

    ①今まで通りの日米同盟
    →アメリカがこれ以上引いたときにどうなる?
    ②日米同盟を基軸としつつ、アジア太平洋地域全体で安定する機構を構築
    →平和憲法、特に憲法9条に抵触
    ③勢力均衡点の中国側にいるのだから、日中同盟にシフトする
    →今の価値観(自由民主主義、基本的人権の尊重、法の支配)の維持は不可能
    ④どちらにも頼らず、莫大な予算を使って自主防衛
    →核を持たずにできるのか?しかし、核を持てば国際的な軋轢は必至
    ⑤どちらにも頼らず、さりとて軍事力にも頼らず、外交力で遊泳していく
    →理想だが、果たして本当にそんなことが可能なのか?

     ①が厳しくなってきたというのが現状。しかし、③は受け入れがたい。というのが出発点ではないでしょうか?勇ましい人の中には④を選ぶ人もいるかもしれませんが、すぐに日本全土を守れるような準備ができるとは思えません。むしろ、その隙に③になってしまうリスクもあります。
     そう考えると、残るは②か⑤となりますが、⑤は本当に可能なのか?アメリカ大統領のセオドア・ルーズベルトが言ったように、「大きな棍棒(こんぼう)を携え、穏やかに話せば、成功するだろう」というのが外交の本質。ならば、棍棒なしでは話し合う⑤は成功しないのではないか?と考えられます。
     では、②を選ぶとなると引っかかるのが集団的自衛権。地域全体の安定を図ることで、自国の平和を担保する。そのためには、ヨーロッパのNATOがそうであるように、各国が集団的自衛権を行使することを前提に抑止力を高めるのです。私は、これがあるから今、集団的自衛権の議論が持ち出されているのではないかとにらんでいます。

     しかし、これが政治家の誰からも声が上がらない。なぜかと思っていたら、ある政界関係者が教えてくれました。
    「朝鮮半島への間違ったメッセージになりかねない。だから、特に政府官邸は絶対に言えないんだ」
     間違ったメッセージとは?
     これは遡ること64年、朝鮮戦争にさかのぼります。1950年1月、当時のアメリカの国務長官、ディーン・アチソンが、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン - 沖縄 - 日本 - アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言。ここで朝鮮半島に言及がなかったことで、北朝鮮は「アメリカによる西側陣営の南半部(韓国)放棄」と受け取り、朝鮮戦争の引き金の一つになりました。

     それを考えると、
    「日本政府が、集団的自衛権はアジア太平洋地域の集団安全保障のためと明言すれば、米中勢力均衡点が東にズレたことを裏付けることになり、ひいては、より前線に近い韓国に対するアメリカの関与が弱まっているのでは?というメッセージを送ることになる。政権が揺らいでいる北がどう反応するかわかったもんじゃない。官邸が言えるわけないだろう?」
     なるほど、政府側はそうかもしれません。しかし、国会議員はどうでしょう?外交的なメッセージを気にせず、国民の生命、財産を守るためにどうすべきかの議論ができるのが国会議員なのではないでしょうか?国民の生命、財産を守る「自衛」権の議論。立場の違いを生かして、本質的な議論ができないものか?この国の国会議員には、その責任感が残っていると信じてはいますが...。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
「飯田浩司そこまで言うか!」

■会員制ファンクラブ(CAMPFIREファンクラブ)
「飯田浩司そこまで言うか!ONLINE」

最新の記事
アーカイブ

トップページ