特定秘密保護法案の国会審議が続いています。新聞各社は賛否が分かれ、特に反対の立場のリベラル系の新聞社、通信社は有識者総動員で全面キャンペーンを行っている他、毎週のように行っている世論調査でもこの法案に紙幅を割いて調べています。そんな反対派メディアの一つ、東京新聞は共同通信の世論調査を引いてこう見出しを付けました。
『秘密保護法案成立なら 「知る権利」侵害62%』(11月25日 東京新聞)http://bit.ly/1ck0BkA
見出しだけ見ると、「ん~、やっぱり反対の人が多いんだなぁ」という印象になりますが、これこそまさに印象操作。記事を少し見ていくと、
「法案への賛成は45・9%、反対は41・1%と割れた。」
としれっと書いてあります。仮にこれが見出しだと、
「賛否拮抗しているけど賛成のがちょっと多いのか...」
となって、印象がだいぶ違います。一体どうなっているのか?紙面には世論調査の詳報が載っていますので、そこから引くと、
<問8 機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案は、与野党間の修正協議を経て、今国会で成立する見通しとなりました。あなたは、この法案に賛成ですか、反対ですか。
賛成 45.9%
反対 41.1%
分からない・無回答 13.0%
問9 あなたは、この法案が成立した場合、国民の「知る権利」が守られると思いますか。
守られると思う 26.3%
守られるとは思わない 62.9%
分からない・無回答 10.8%>
ちなみに、特定秘密保護法案の趣旨についてはその第1条に書かれていますが、
「(目的)
第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。」
『特定秘密保護法案全文』(10月25日 東京新聞)http://bit.ly/1c2aEdL
要するに、国家・国民の安全の確保のため、一部知る権利を制限すると書かれているわけです。法律案にそう書かれているんだから、問9の質問はそもそもナンセンス。その上、単純に賛成反対を問うた問8ではなく、法案にネガティブな印象を与える問9の方を見出しに取るというのは、ある種の意図を感じざるを得ません。
リベラルメディアはこの法案を廃案にしようと主張しますが、それでは拭えないリスクがあります。最近ではこんなニュースが出ました。
『北朝鮮抑留事件 元機関長が初証言』(11月23日 NHK)http://bit.ly/1ck80An
これは、日本の貨物船の船長と機関長が北朝鮮で身に覚えのないスパイ容疑で逮捕され、7年間にわたって抑留された「第18富士山丸事件」について、元機関長が初めて証言したというニュース。この事件は、日朝間での交易のため往復していた第18富士山丸で、北朝鮮出航後船内で密航者が見つかり、日本の入管に引き渡したところ、その後再び交易で北朝鮮に入った際、船長と機関長が密航の幇助及び継続的なスパイ行為の容疑で拘束されたという事件です。
(参考)『第十八富士山丸事件』(ウィキペディア)http://bit.ly/1ckaWgm
事件発生から7年で解放されましたが、2人は帰国してからも多くを語りませんでした。その理由は、北朝鮮の担当者から「帰国してよけいなことを話すと、子どもが交通事故に遭うこともありうる」などと、脅しとも取れる口止め工作を受けたからだとしています。それも、2人の家の場所や間取り、家族の構成や年齢などなど、詳細な個人情報を把握した上での脅しに、今まで逆らうことなどできなかったそうです。こうした情報をどこで手に入れたのか?北のスパイの暗躍、日本人協力者の存在...。この法律があれば、たとえ外国人であっても特定有害活動の防止に関する事項で逮捕し罰することが出来るわけです。
問題の第一義は無法国家北朝鮮にあるわけですが、北に抗議するだけでなく国内法で犯罪を未然に防ぐのは主権国家として当然の振る舞いです。この法案に足らないところがあるのなら、それを足していくのが議論というものではないでしょうか?一足飛びに廃案を主張するのは、むしろこの法案の問題点をぼやかしているのかと穿ってみたくもなります。
一票の格差が最大で2.43倍だった去年12月の衆議院選挙は違憲だとして各地で起こされた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は、区割りを『違憲状態』とする統一判断を示しました。
『昨年衆院選「1票の格差」は違憲状態...最高裁』(11月20日 読売新聞)http://bit.ly/1cjLLe6
これを受けて、与野党で選挙制度改革を議論しています。
『自公民「定数削減」優先を確認...選挙制度改革』(11月23日 読売新聞)http://bit.ly/1cjMgou
そもそも、一人一票を実現することが目的のこの訴訟。それゆえ、改革の議論も格差の是正にばかり集中していて、定数を削減するのが善というのが前提のように議論が進んでいます。しかし、一人一票を徹底すると有権者数の少ない地方の意見が反映されづらくなるということが指摘されることはあまりありません。
一人一票は民主主義の基本だ!と原告が主張し、当然のように受け入れられているのは、多数決で物事を決める際の前提が一人一票だからです。しかし、民主主義の基本はそれだけではありません。忘れられがちなのが、「少数意見の尊重」。戦後のこの国の体制の中で、この概念は軽んじられ続けてきました。日本国憲法を解説した当時の文部省の副読本、「あたらしい憲法のはなし」にもそれがすでに表れています。
『あたらしい憲法のはなし』(青空文庫)http://bit.ly/13UQTEl
この第2章「民主主義とは」の中にこんな記述があります。ちょっと長いんですが、引用しますね。
<みなさんがおゝぜいあつまって、いっしょに何かするときのことを考えてごらんなさい。だれの意見で物事をきめますか。もしもみんなの意見が同じなら、もんだいはありません。もし意見が分かれたときは、どうしますか。ひとりの意見できめますか。二人の意見できめますか。それともおゝぜいの意見できめますか。どれがよいでしょう。ひとりの意見が、正しくすぐれていて、おゝぜいの意見がまちがっておとっていることもあります。しかし、そのはんたいのことがもっと多いでしょう。そこで、まずみんなが十分にじぶんの考えをはなしあったあとで、おゝぜいの意見で物事をきめてゆくのが、いちばんまちがいがないということになります。そうして、あとの人は、このおゝぜいの人の意見に、すなおにしたがってゆくのがよいのです。このなるべくおゝぜいの人の意見で、物事をきめてゆくことが、民主主義のやりかたです。>
この中には、自分の考えを披露することは書いてあっても、多数決に漏れた少数意見の取扱いについては書いてありません。この本が出版されたのは昭和22年。まさしく、戦後民主主義教育はここから始まったのです。そしてその教育では、多数決の原理は教えても少数意見の尊重は教えてこなかった。それゆえ、多数決の原理のみを追求した、定数削減を軸とする改革になってしまっているのではないでしょうか?
今の路線で一票の格差の是正が達成されても、都市部と地方の発言権の格差、ひいては経済格差や教育格差が広がるということにはなりはしないか?今の議論の行方に少し心配になります。
国会では国家安全保障会議設置法案(日本版NSC法案)が衆議院を通過し、これと車の両輪と言われる特定秘密保護法案の審議が続いています。この法案の審議を担当する森雅子少子化担当大臣は10月22日の記者会見で、具体的な処罰対象について言及しました。
『「西山事件」に類する取材活動は処罰対象 秘密保護法案で森担当相』(10月22日 産経新聞)
http://on-msn.com/1dCfzU9
「西山事件」とは、毎日新聞の西山太吉記者が1971年の沖縄返還協定に関し、日本が返還費用を肩代わりするとの密約を入手。西山氏と外務省職員が国家公務員法(守秘義務)違反で逮捕された事件です。この担当大臣発言があってからというもの、「第2第3の西山が出てきて取材が出来なくなる!」「民主主義の破壊だ!」といった論調でこの法案の廃案を主張する記事があふれています。
『秘密法と沖縄密約 民主主義を破壊するのか』(10月23日 琉球新報社説)http://bit.ly/1acz8jW
廃案を主張するなら、スパイ天国と言われる日本の今の状況をどう改善するのかという対案を見せてほしいものですが、そうした報道はほとんどありません。
さて、当の西山氏は事件が引き合いに出されることに対してどう考えているのか?先日、日本記者クラブで会見が行われました。昨今の議論については、
「取材論だけ分断して論じても意味がない。秘密の中身によって違う」
と持論を展開しました。まず、事件の最高裁判決を引き、秘密の構成要件は『①秘密が非公知である②秘密として保護するに値するもの』であるとし、
「その秘密の中身が憲法違反、法律違反なら、違法な行政行為となり、取材論で処罰対象とするのは違う」
としました。
(参考)『外務省秘密漏洩事件(西山事件)最高裁判決』http://bit.ly/1dCn7WT
つまり、取材行為そのものではなく、漏えいした秘密(とされるもの)の内容によって切り分けなくては大雑把な議論に終始してしまうということ。西山氏は西日本新聞のインタビューの中でこう語っています。
『秘密国家 目の前 沖縄密約報道で逮捕の西山さん 民主主義の空洞化懸念 [福岡県]』(10月27日)http://bit.ly/1d4xfeK
<(前略)
-法案提出で西山さんの事件が再び注目を集めている。
現政権は法案提出に当たって、私の過去の取材手法を「違法行為に当たる」とプロパガンダ(宣伝)に使い、メディアもそのまま報道する。問題点を沖縄密約から取材方法にすり替えた72年と全く同じ手法だ。
(後略)>
廃案のみを主張し、その根拠として西山事件を持ち出すのは、かえって政府の意向に乗っかって議論のすり替えをしまうことになるのではないでしょうか?私もこの特定秘密保全法案のすべてに賛成というわけではありません。運用の仕方一つで主権在民を破壊する怪物になってしまう可能性も否定はしません。しかし、一方で秘密漏えいを防ぐというメリットを考えると、民主主義の仕組みを破壊しないような安全装置を付けた上で成立を図るのが前向きな議論なのではないでしょうか?そういう意味では民主党の主張する情報公開法の一部改正も手の一つでしょうし、日本維新の会が主張するような第三者機関という手もあるでしょう。今回西山事件が引き合いに出され、会見にも行って思ったのは、
「秘密の中身が憲法違反、法律違反のものであるならば、公益通報者保護制度が使えるのでは?」
というものでした。
根拠となる公益通報者保護法の逐条解説には、公務員も保護の対象となる旨記載があります。
また、守秘義務との関係については、
『4.公務員の公益通報と守秘義務との関係
(1)国家公務員法第100 条の守秘義務の対象となる「秘密」とは、単に形式的に秘扱の指定をしただけでは足りず、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきとされているところである(昭和52 年12 月19 日最高裁判決)。
(2)本法における公益通報の対象は「犯罪行為」や「法令違反行為」という反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないと考えられることから、通常、これらの事実について法案に定める要件に該当する公益通報をしても、守秘義務違反を問われることはないと考えられる。
(3)なお、公益通報に当たって、第三者の個人情報や営業秘密、国の安全にかかわる情報など、他人の正当な利益や公共の利益に当たる「保護に値する秘密」を併せて漏らした場合には、守秘義務違反に問われる場合が考えられる。』
http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/gaiyo/files/tikujo-a6-a11.pdf
この(2)の部分を使えば、公務員への取材活動でも処罰の対象にはならないのではないでしょうか?
西山氏は会見の中で、
「知る権利知る権利と言うが、アメリカにおいてもどこでも、知る権利はリークによって成り立っている部分がある。ウォーターゲートのような大きなスクープも、内部告発なくして成り立たなかった。」
リークした人を逮捕させないような法制度を作ることが出来れば、知る権利は担保出来る。ただ廃案にすべしではなく、そういった前向きな議論が出来ないものでしょうか?
韓国で相次ぐ元徴用工への賠償裁判で、日韓請求権協定への関心が高まっています。
『財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定』(外務省)http://bit.ly/HEcc4B http://bit.ly/HEcpVt
『元挺身隊女性にも賠償命令 韓国、戦後補償で3件目 「請求権消滅」認めず』(11月1日 産経新聞)http://on-msn.com/HEacJB
これに対し、日本政府は当然、上記日韓請求権協定によって、完全かつ最終的に解決したという姿勢を崩してはいません。また、日本の財界もさすがに憂慮を示すようになりました。
『「徴用工賠償問題 日韓経済損なう」 経団連など共同声明』(11月7日 東京新聞)http://bit.ly/1c4iiUR
一方、韓国国内や一部日本国内でも、日韓請求権協定において個人の請求権までは放棄していないという見方があります。そして、それを日本の外務省も認識していたという外交文書、あるいは国会答弁を証拠に、日本企業は賠償に応じるべきだという議論があります。
彼らが根拠とするのは、たとえば1991年(平成3年)8月27日の参議院予算委員会における外務省条約局長(当時)柳井俊二氏の答弁。
「(前略)いわゆる日韓請求権協定におきまして両国間の請求権の問題は最終かつ完全に解決したわけでございます。
その意味するところでございますが、日韓両国間において存在しておりましたそれぞれの国民の請求権を含めて解決したということでございますけれども、これは日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます。」
※全文は、国会会議録検索システム(http://bit.ly/1c4mZOw)参照
たしかに、ここでは個人の請求権そのものを消滅させるものではないと明言しています。一方で、同じ答弁の中で請求権の問題は最終かつ完全に解決したとも述べています。
これは一体どういうことか?
問題となる請求権とは、財産を棄損された際に補償する請求権です。つまり、財産権の一部となります。財産権とは、特に法律に明文化されなくても自然に備わっているとされている権利。これに関しては、条約・協定であっても消滅させることはできません。さらに、条約・協定を結ぶ場合、お互いの国で条件を揃えることが必要ですから、もし仮に韓国で請求権を消滅させたら、日本でも財産請求権を消滅させなくてはなりません。財産権を消してしまうと、経済運営の根本を否定することになるのでこれはできません。そこで、個人の請求権そのものの存在は認めつつも、実際の運用として『外交保護権』を相互に放棄するとしたのです。
では、外交保護権とはなにか?これは、国際間での損害賠償等で使う権利。
たとえば、日本人である私飯田がA国によって違法な損害を受けた場合、日本は国としてA国に対して国家責任を追及することが出来るという権利です。なぜ、私個人で損害賠償請求するのではなく、日本という国を経由するかというと、国際法では権利を行使する主体は国でなくてはならないという原則があるから。とはいえ、損害は賠償されなければならず、そこで外交保護権という折衷案が採用されているのです。
さて、その外交保護権を相互に放棄するとどうなるのか?今回のように訴訟を起こすことはもちろんできますが、その結果賠償判決が出たとして、実際に差し押さえようとしたところで外交保護権を行使することになります。つまり、差し押さえができないということです。今の韓国の国内世論の状況で、差し押さえが出来ないとなればどうなるでしょうか?協定を守ろうとすれば国内世論が沸騰しますし、差し押さえようとすれば協定破りとなります。そうなれば、日本側とすれば過去の戦時賠償も白紙に戻して考えなければなりません。要するに、「金返せ!」という話です。そこまでの覚悟がパク・クネ政権にはあるのか?私には、この一連の裁判、韓国にとって袋小路に陥っていると思うんですが...。
国会では、電気事業法改正案が衆議院を通過しようとしています。通常国会で時間切れ廃案となったこの改正案。今回もほぼ同じ内容での審議が続いている形で、核となる部分は、「広域的運営の推進」→「新規参入の自由化」→「発送電分離」という流れです。
『ようやく電気事業法を改正へ、3段階の改革が前進』(ITMedia)http://bit.ly/1agVPRO
地域独占が緩和されればより安い電力会社と契約することができ、ユーザーの利益になるというのがその目的。円安で燃料費が高騰し、電気料金が上がっている昨今、これで電気料金が少しでも安くなれば万々歳と思うのですが、果たしてそんなに上手くいくのか?心配もあるんです。
それが、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度。(資源エネルギー庁ホームページ http://bit.ly/1h4J869)
再生可能エネルギーの普及促進を目指して、従来のエネルギー源(火力、原子力など)よりも高い値段で電力会社が買い取ることを義務付けるもの。
電力会社はそのコストを電気料金に上乗せするため、結局ユーザーがその分を負担することになります。それでも、福島第一原発事故を見て、安全なエネルギーが普及するためなら仕方がないと納得した消費者もいたと思うんですが、問題はその値段。
もっともシェアの多い太陽光発電を例にとると、当初は1キロワット時42円。(10kW以上)現在は下がったとはいえ37.8円です。
一方、既存のエネルギー源の火力、水力、原子力の発電コストはだいたい1キロワット時あたり10円前後。もちろん、原子力発電に関しては今後廃炉や放射性廃棄物処理のコストを考えなくてはいけないので単純に比較することはできませんが、少なくとも既存エネルギー源と比べると再生可能エネルギーはコスト負担が重い。
それがどれだけ負担かと言えば、新電力大手・エネットの池辺社長は日本記者クラブでの記者会見で電力を買う側の立場として、
「固定価格買い取り制度は、(買い取り量の)変動で激しいリスクがある。なかなか手が出しづらい」
と話し、安定的に電力を調達するには火力・水力などを優先していると話していました。
また、この分野で先行しているドイツで電気料金が上がり続けていることからもうかがえます。
『独、再生エネに曲がり角 電気料金抑制へ買い取り制度見直し』(サンケイビズ 10月11日)http://bit.ly/1agZOO9
ドイツの例を見るまでもなく、固定価格買い取り制度が適用されている限り、発電業者からすれば、できるだけ再生可能エネルギー、その中でも割のいい太陽光発電を使った方が儲かるということになります。その上、再生可能エネルギーは買い取りが義務付けられていますから、発電業者からすると太陽光パネルを敷き詰めるだけでいい。
そんな状況で発送電分離が行われるとどうなるか?
発電会社は経済性を考えて太陽光発電が多くなるでしょう。そうすると、天候によって発電量にバラツキが出ることになります。そして、再生可能エネルギーは発電された全量を買い取る(=使う)義務がありますから、太陽光で大量に発電出来た日はそれだけで需要を満たせるかもしれませんが、曇りや雨の日は太陽光だけでは力不足で、火力、水力などを併用せざるを得ません。しかし、そんなに機動的に火力発電、水力発電ができるのか?出来なければ当然停電が頻発することになります。
さらに、全量買い取り義務は送配電会社が負うとのことなので、電気の仕入れ料金が上がることになります。そもそも高コスト体質となる送配電会社が安く電気を供給するためには、送電線などのインフラコスト、メンテナンスコストを削るしかありません。そうなると、JR北海道の例を見る通り、長期的に見れば設備がボロボロになって停電が頻発するでしょう。ダブルで停電頻発のリスクとなると、自宅で酸素吸入などをしている方にとっては命にかかわる政策変更となります。
結局、固定価格買い取り制度の太陽光発電への極端な傾斜が電力改革の様々なところに歪みを生み出している気がしてなりません。そして、この問題は政府が適正な買い取り価格に変更するだけであらかた片付くのです。消費者に様々な不便を強いてまで太陽光発電業者を儲けさせ続けるメリットは何なのか?政府はきちんと疑問に答えるべきなのではないでしょうか?
1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。
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